ISDB-C規格とは?CATVをPCで録画 事前調査その1


自宅はCATV局(イッツ・コミュニケーションズ)の地上波パススルーが導入されており、安定した録画生活が送れている。
※BS・CSは屋根上アンテナからの混合であり、BSCSパススルーではない。勿論トラモジ”でも”配信されている。

チャンネルはNHK-G、NHK-E、NTV、EX、TBS、TX、CX、MX、TVKと、田舎に比べるともうこれだけで十分であるのだが、
サービスの解説によれば、チバテレビとテレビ埼玉がトランスモジュレーション方式で区域外再放送されている。

CATVのSTBにB-CASとC-CASが入ってることからわかるように、B-CASで処理するチャンネルと、C-CASで処理するチャンネルがある。
トラモジチャンネルは全てC-CASだと思っていたのだが、地上波とBSチャンネル(一部の、110度衛星全てではない)に関してはB-CASで処理しており、加えてそれぞれのカードによってPCで録画できるようだということが人柱の皆様のお陰で分かった。

※B-CASで処理していても、俗称STB-IDチェックと呼ばれるブロックが有り、BS放送に関しては、”チューナー側”で見られなくする処理が行われる(頻度も可能性もCATV局によって異なるらしい)。
これはチューナーの独自実装であり、B-CASの通称毒電波とは異なるので、PCのチューナーであれば無関係ではないかという予想ができる。(追記、約半年、PCチューナーでブロックされることはありませんでした。)

この件に関して、STBの上り回線(10-55MHz)が関係あるのか、と思ったが、C-CASと紐付けられたSTB-IDでなければ弾く、ということのようで、ケーブルモデムも無関係のようです。
(ITU-T J.112 annexB他DOCSISに非対応(=ケーブルモデム非搭載)のSTBも多数存在する)

まずはCATV、ついでにスカパー光ではどういう方式で運用されているのか、スカパースレに書いた内容を転記しつつ。
スカパー! プレミアムをPCで視聴 18©2ch.net
http://echo.2ch.net/test/read.cgi/avi/1472610075/
※間違いもあるだろう、推測も多いので参考までに…


IP伝送=DOCSIS3.0/3.1=MCNS=スカパー光?=ITU-T J.112 Annex.B
※スカパー光は、MCNSドライバで動いているという報告があります。

結論から言うと、以下のようになります。
DOCSIS=MCNS∋ITU-T J.83 annex.B=スカパープレミアム光

何故なら、チューナーカードの、識別がDVB-C(J.83のA、C)とMCNS(J.83のB)と分かれていたから。

CATVのRF伝送の規格と統合すると以下のようになります。

→J.83 Annex.A=DVB-C //欧州
→J.83 Annex.B ∈MCNS //米国
→J.83 Annex.C=ISDB-C //日本

日本のCATVの”放送”はISDB-Cで運用され、シンボルレートは5274、ほぼ64QAMで運用され、256QAMまで存在する模様。

調べていて気が付きましたが、DOCSIS=ITU-T J.112 Annex.Bというのは間違いのようで間違いではないみたいです。
DOCSISといえば、ITU-T J.112 Annex.Bを”一般的に”指し、J.112の付帯規格(Annex.A/B/C)がそれぞれ、欧州、北米、日本の仕様となっているというのだ。
さらにJ.112 Annex.BはDOCSIS1.0であり、DOCSIS2.0はJ.122、DOCSIS3.0はJ.222に規定されている。ややこしい。

というわけで、J.83が放送の変調方式について規定したもの(=物理層)、J.112が双方向通信(DOCSIS)の規格で、それぞれの付帯規格が対照になっている、とのことのようだ。
※J.112の物理層はJ.83に規定されているものを利用する

で、IP(Internet Protocol)方式とRF(Radio Frequency)方式は、前者は映像信号を”パケット化”、後者は”変調”して送り届ける。
即ちスカパープレミアム光含めて、放送はRF方式。(物理的な同軸/光は無関係)


確認の為、ケーブルモデムを取り外して、周波数帯、シンボルレートを調査してみました。

そう、インターネットとVODに関しては、シンボルレートが”5360(256QAM)と5057(64QAM)”と、まさにAnnex.Bの規格。
放送に関しては、シンボルレートが5274、即ちAnnex.C。
結局日本仕様の規格は作ったものの、DOCSISのインターネット機器に関しては、国内で開発せず、北米版を導入した、ということのようです。

※画像で二箇所16QAMとなっていますが、信号星座図を見ればわかるように、どう見ても256QAMと64QAMです。(MCNSのモードでも同じ認識だったので、まぁなんかの間違いでしょう。)

余談ですが、6MHzの帯域幅でSRが5360の256QAMの波は8つありました。
DOCSIS3.0はチャンネルボンディングで異なる帯域を束ねることができ、現時点でのインターネットサービスは最大160Mbpsのプランまで提供されています。計算すると4つの帯域を束ねていることになりますね。(42.88Mbps*4≒160Mbps)
理論上320Mbpsも可能ですが、利用者ごとの速度を担保するためにはこれが最適なのでしょう。

詳細な周波数とチャンネル対照表は後ほど別の記事にする予定です。

さらに余談。
→ITU-T J.382=DVB-C2
4K8K等次世代の方式となり、複数搬送波を使用するISDB-Cの次世代規格(NHK方式、(TSMF: ITU‐T J.183の拡張)との競合。
どちらが採用されるのかはわかりません。J:COMは両方でテストしたようです。
ニュース記事などを見ていると国際標準のJ.382が優勢か。

追記:JCTEAの2017年の資料によれば、2014年12月、「J.382/6MHz仕様を有線一般放送の伝送方式として採用した」とのことです!チューナーだけはなんとかなりそうですね。

2017/7追記:ケーブル技術ショーによれば、J.382方式は実際CN比不足で問題があったことから、日本では複数搬送波伝送方式のJ.183拡張方式を軸に進めていくこととなったそうです。
J.382を導入するために同軸を交換するくらいなら、FTTHで3.2GHzまでのBSCSパススルーを実施することになるだろう、とも仰っていました。
実際展示されていたモジュレーターも住友電工様、日本通信機様、ミハル通信様などすべてJ.183拡張方式のみでした。

参考資料:
J.83 ANNEX C(ケーブルテレビシステム委員会報告概要(案))
ケーブル伝送路の高度化|日本ITU協会
J.112 Annex B|ITU
ITU-T SG9における4K/8K関連標準化動向


PanasonicのSTBのページ
TZ-LS300PW/TZ-LS300P/TZ-LS300F
を見ると
デジタル放送 受信変調方式:64QAM(Annex.C)
ケーブルモデム 受信変調方式:64QAM/256QAM(Annex.B)
とありますので、上がITU-T J.83 Annex.C、下がAnnex.Bということで間違いはなさそうです。


と、ここまで書いてきましたが、CATVの”トラモジチャンネル”をTS抜きするにはどうすれば?と言う話です。

参考:
PCでケーブルテレビのCSを視聴・録画する方法 – NAVER まとめ
http://matome.naver.jp/odai/2142756819904448701

基本的にDVB-Cの派生なので、大抵大丈夫だと思いますが、正確にはJ.83 Annex.C対応のチューナーが必要です。
海外のサイトでは、ISDB-Tの表記はありますが、ISDB-Cの表記は見かけないので注意が必要です。

買うとすれば、TBS Technologiesか、ドイツのDigitalDevicesがオススメです。
他のメーカーのも色々と購入しましたが、安定動作はしていません。また別記事で…。


この記事を書いている現在、EDCB、Spinel導入などはまだ終わっていないのですが、とりあえず、
”サービスチャンネルリストに存在しないはずのチャンネルの波が存在した”ことだけ報告しておきます。



というわけで、続きます。